上尾中央総合病院では、子宮良性腫瘍に対するロボット手術をおこなっています。ロボット手術はち密な操作が可能なため、出血量の減少や合併症リスクの低減が期待されています。
子宮良性腫瘍とは
子宮良性腫瘍は、子宮内にできる腫れや異常成長を指します。主な種類には、子宮筋腫(子宮の筋肉層にできる腫瘍)、子宮腺筋症(子宮筋層にできる腫瘍で、正常組織との境目がわかりづらい)、子宮頸部高度異形成(子宮頸部の前がん病変)があります。日本における子宮良性腫瘍の患者数は多く、特に子宮筋腫は一般的です。推定では、成年女性の約20~40%が子宮筋腫を持っていると言われています。
どのような症状か
良性腫瘍の種類や大きさによって異なりますが、一般的な症状には「月経周期の乱れ」「過度の性器出血」「腹痛や腹部の圧迫感」「排尿障害」「便秘や腸の圧迫感」「性交痛」などがあります。これらの症状が出現した場合、早期の診断と治療が重要です。症状の程度や患者の個別状況に応じて、医師との相談をお勧めします。
治療法
子宮の良性腫瘍が確認されていても、症状が軽度であったり閉経が近いと判断されるときには外来で経過を観察いたします。しかし、症状が進行していたり、軽度では無いと判断された場合にはホルモン療法などの薬物療法やカテーテル治療(子宮の血液の流れを抑えて栄養がいかなくなる方法)、手術療法などの中で最適な治療方法を検討いたします。
手術の方法
手術療法には、腫瘍のみを摘出し子宮を温存する方法と、根治治療として子宮を摘出する方法があります。
このうち、子宮を摘出する手術においては、保険適用の範囲内で、当院では従来行われてきた「開腹手術」「腹腔鏡手術」「腟式手術」に加えて、「ロボット支援手術」「腟式腹腔鏡手術(vNOTES)」を行っております。それぞれのメリットを活かし、個別の患者さんの安心と健康を最優先に考え、質の高い医療を提供しています。
手術のきずのイメージ
子宮が大きい場合は、点線部分まで開腹します。
上尾中央総合病院の子宮良性腫瘍手術
近年、患者さんの体に負担の少ない手術方法が保険適応になったため、当科でも取り入れ、積極的にロボット支援手術や腟式腹腔鏡下手術を行なっております。
「ロボット支援手術」はロボットを使用して行う腹腔鏡手術のことです。ロボット本体にカメラと鉗子を取り付け、患者さんのお腹にあけた小さな創(手術のきず)にそれらを挿入します。術者は少し離れた操作台(コンソール)でロボット鉗子とカメラを動かし手術を進めます。腹腔鏡手術同様に創(手術のきず)が小さいので整容性に優れた治療法です。術後の痛みが少なく、手術後の回復が早いため、早期の社会復帰ができるなどの利点があります。
「腟式腹腔鏡手術(vNOTES)」は腟からカメラや鉗子を挿入して腹腔鏡手術を行う新しい方法です。いままではおへそやお腹に小さな切開を加えて器具を挿入し手術を行っていましたが、それを腟から行うことでお腹に傷を作らずに手術が行えます。従来の腹腔鏡手術よりもさらに術後の痛みが少なく、また非常に整容性に優れた方法として、近年日本でも普及してきています。