くも膜下出血とは、脳とその表面を覆う“くも膜”との間(くも膜下腔)に出血をきたす病気です。原因の約8割が脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂です。
どんな症状がでるのか?
主な症状は、「ハンマーで殴られたような」、あるいは「今まで経験したことが無い」と表現されるような“激しい頭痛”が挙げられ、嘔吐や意識障害を伴う場合もあります。また、出血が脳実質に及ぶと、手足の麻痺や言語障害を伴う場合があります。
一度発症すると、約40%の方が生命に関わります。生存し得ても約1/3の方は重度の後遺症を残し、社会復帰できる方(軽度の後遺症を含め)は、おおよそ3人に1人と言われています。
くも膜下出血の治療
まず、予後を悪化させる原因である再破裂を防ぐため、早期に、コイル塞栓術、または、開頭クリッピング術を施行します。手術方針は、動脈瘤の位置や形状、患者さんの全身状態等を総合的に検討したうえで決定します。
発症後2〜3週間は、ダメージを受けた脳はもとより、循環(心臓)や呼吸など全身状態も大きく影響を受けますので、主にハイケアユニットにて治療を行います。
また、発症後4〜14日間に生じる脳血管れん縮(脳の血管が細くなり、脳梗塞の原因となる病態)に対するカテーテル治療(ファスジル動注療法)や、水頭症(髄液の吸収障害で脳内に髄液が貯まってしまう状態)に対するシャント手術が必要となる場合もあります。
治療法について、もっとくわしく
コイル塞栓術:カテーテル治療
血管内に挿入したカテーテル(細い管)を、レントゲン透視下に脳動脈瘤に到達させ、コイル(プラチナ製の糸)を挿入することで、瘤内への血流を遮断します。
ストライカー社HPより
開頭クリッピング術:外科手術
頭皮を切開し頭蓋骨の一部を開頭(一時的に骨を外す)した後、手術用顕微鏡のもとで脳動脈瘤に到達し、クリップ(チタンなどの金属製)により動脈瘤ネック(動脈瘤の根元)を閉鎖することで、瘤内への血流を遮断します。