未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)とは、脳動脈の一部分が膨らみ、瘤(こぶ)状になった病気です。日本人の100人に4〜5人(約5%)が脳動脈瘤を有していると言われています。
どんな症状がでるのか?
未破裂脳動脈瘤は、通常は無症状です。しかしながら脳動脈瘤の瘤壁はぜい弱であるため、破裂して、くも膜下出血や脳内出血を生じる可能性があります。最近の日本人のデータ(UCAS Japan)では、破裂率は年間0.95%となっています。
また、破裂しなくても、動脈瘤のサイズが大きくなると、脳や神経を圧迫して症状が出る場合もあります。
未破裂脳動脈瘤が見つかったら
未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、動脈瘤のサイズや形状、部位、患者さんの体の状態・希望などを総合的に判断し治療方針を決定します。その方法には、コイル塞栓術や開頭クリッピング術による治療、および、経過観察があります。
経過観察する際は、破裂のリスクを高める要因(高血圧、喫煙、過渡の飲酒)に対する治療や指導をしながら、半年〜1年の間隔でMRAなどの画像検査を行います。脳動脈瘤のサイズ増大や形状変化が認められた場合は、治療を考えます。
ご相談ください。
治療法の選択は、疾患の状態や患者さんの状態・ご希望などを総合的に判断した上で、カテーテル治療・開頭治療のいずれかに偏ること無く、最適と思われる治療法を提案できればと思っております。外来・病棟で、まずはご相談ください。
治療方法について、もっとくわしく
コイル塞栓術:カテーテル治療
血管内に挿入したカテーテル(細い管)を、レントゲン透視下に脳動脈瘤に到達させ、コイル(プラチナ製の糸)を挿入することで、瘤内への血流を遮断します。
ストライカー社HPより
開頭クリッピング術:外科手術
頭皮を切開し頭蓋骨の一部を開頭(一時的に骨を外す)した後、手術用顕微鏡のもとで脳動脈瘤に到達し、クリップ(チタンなどの金属製)により動脈瘤ネック(動脈瘤の根元)を閉鎖することで、瘤内への血流を遮断します。