お腹にきずがない婦人科手術
上尾中央総合病院の産婦人科では、2023年6月からvNOTES(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery:腟式腹腔鏡手術)を始めました。
NOTES は、口や膣・肛門など、もともとからだに備わっているあなを利用して行う腹腔鏡手術のことです。
婦人科では、腹腔鏡のカメラや鉗子などをすべて腟から挿入し、摘出した組織もすべて膣から取り出す術式のことを指します。お腹にきずを作らずに手術ができるため、ひろく行われている腹腔鏡手術よりもさらに術後の痛みが軽く、入院期間が短くなります。デスクワークであれば、退院してすぐに復帰もできます。
保険適用の手術ですので、費用は通常の腹腔鏡手術と変わりません。(入院期間が短いぶん、費用が抑えられる可能性があります)
腹腔鏡手術との創(手術のきず)の違い
適応疾患
- 子宮筋腫
- 卵巣腫瘍
- 骨盤臓器脱
などの良性疾患
しかし、全ての患者さんが対象になるわけではありません。
筋腫や腫瘍が大きい場合や、過去の手術などで癒着がある場合など、vNOTES が適応できない場合もあります。
当院では、vNOTES 以外にも「ロボット支援手術」や従来行われてきた「開腹手術」「腹腔鏡手術」「腟式手術」を行っています。
患者さんによって病状は異なります。それぞれの手術方法のメリットを活かし、お一人おひとりの安心と健康を最優先に考え、質の高い医療を提供しています。
具体的な治療経過
腟から腹腔鏡の鉗子などを挿入して、腟の奥を少し切って、お腹のなかで手術をします。
腟の中を切るので、外から見える所に創(手術のきず)はありません。
手術時間は60~120分程度で、手術翌日には食事も歩行も可能です。尿道カテーテル(おしっこの管)は手術翌日に抜き、排尿状態に問題がなければ、手術から3~4日で退院となります。当院では5~6日前後の入院期間になります。
術後の生活で気を付けること
退院直後から日常生活に制限はありませんが、性交渉や重いものを持つような仕事は1ヵ月程度控えることを勧めています。入浴はシャワーをお勧めしていますが、自宅のお風呂であれば特に問題ありません。雑菌の感染の可能性があるため、公衆浴場の入浴は1カ月程度控えるようお伝えしています。また、溶ける糸できずを閉じますので抜糸は必要ありません。