検査でわかること
ABI(Ankle - Brachial Index)
ABIとは足首と上腕の血圧の比のことで、動脈の狭窄や閉塞を評価する指標です。
健常人では足首の血圧は上腕の血圧よりやや高くなっていますが、下肢血管の動脈に狭窄や閉塞があると、その部分の血流が悪くなり血圧は低くなります。
このことから上腕と足首の血圧を同時に測定することで血管の狭窄の程度がわかります。
PWV(PulseWave Velocity)
心臓の拍動が動脈を通じて手や足に伝わるまでの速度です。
動脈が硬いほどその速度は速くなることから、測定により動脈硬化の程度がわかります。
検査方法
患者さんには仰向けで寝ていただければ結構です。
心電計などを装着し、手足の血圧を測定するだけなので、薄手の服ならそのまま検査ができます。ABIとPWVは同時に測定できるので、測定は準備も含め10分程度です。
結果はその場でプリントアウトできます。
検査の注意点
以下の疾患や状態の患者さんは検査することができません。
- 深部静脈血栓症の方
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下肢血圧測定による、血栓の乖離による梗塞の恐れがあります。
下肢のむくみが著名な場合や、血栓の有無が曖昧な場合は検査ができません。
- 大動脈瘤のある方
- 動脈瘤の程度によって破裂の恐れがあります。
※透析シャントのある方は、保護のためシャント側で血圧を測定できませんが、非シャント側の血圧だけでもABIは測定できます。
アピール
日本人の三大死因は がん、脳血管疾患、心疾患です。そのうち脳血管疾患と心疾患は動脈硬化が危険因子になるため、早期発見が大切です。
以下に該当する方は要注意です!動脈硬化が健常な方より進んでいる可能性があります。
- 高血圧
- 高脂血症
- 糖尿病
- 喫煙
- 肥満
※ABIは動脈の閉塞または狭窄の部位や程度の詳細はわからないため、検査により異常が認められた場合、末梢血管超音波や、MRA(磁気共鳴血管画像)、CT血管撮影などで詳しく検査します。