埼玉県でいち早く保険診療で開始した「ロボット支援下仙骨腟固定術」の実施症例数が、2023年3月でついに300例を超えました。これは全国有数の実施件数であり、近隣のクリニックや病院だけでなく、県外からもご紹介をいただけるようになったおかげです。各医療機関さまにはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱に対する本手術は、2020年4月に保険適用となりましたが、手術支援ロボットが必要であることや、泌尿器科・婦人科両方の診療技術が求められることから、3年たった現在でも実施できる施設はごく一部にすぎません。当科では現在、女性医師や婦人科医などの女性骨盤底外来専任医師が本手術を担当しており、「女医さんに診てもらいたい」「婦人科疾患も同時に相談したい」などの様々な患者さんのご要望に応えられる体制が整っています。また、本手術だけでなく他の骨盤臓器脱手術も幅広くやっており、骨盤底筋体操や生活指導、栄養指導などの保存的治療についても、専任の理学療法士、皮膚・排泄ケア認定看護師、管理栄養士による個別指導の専門外来を設けており、「手術はなるべくしたくないんだけど…」という患者さんにも全力でお応えしています。
当科はこの3年で、手術症例数だけでなく診療の質もますます充実し、これまで以上に骨盤臓器脱で悩まれる多くの患者さんのお力になれると思っています。リング(ペッサリー)の治療から卒業したい、いままで誰にも相談せずにいたけれどもこの際手術で治してしまいたい、手術以外の治療も相談してみたいという方は、当科の女性骨盤底外来(毎週、火曜午後・水曜午後)に、ぜひご相談にいらしてください。
2023年4月24日
泌尿器科 森山真吾、小川一栄
産婦人科 片倉雅文