医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院(所在地:埼玉県上尾市 院長:徳永英吉、以下 当院)は、循環器系急性疾患の患者の救命を目的とし、連携医療機関からの要請に迅速に対応できるよう、患者の前方搬送(当院への搬送)を行うための心臓病専用救急車「モービルCCU (Mobile Coronary Care Unit:移動式心臓集中治療施設)」の運行を、2018年8月13日(月)から開始しましたので、ご報告いたします。
モービルCCU導入の背景
当院は埼玉県県央医療圏(上尾市、桶川市、北本市、伊奈町、鴻巣市)の二次救急指定病院として、年間約9,000件の救急搬送症例を受け入れています。また、埼玉県の地域医療支援病院として、日常診療を行うクリニックや診療所・医院と連携をとりながら、診療にあたっています。
連携医療機関からの紹介患者の中には「受診した患者が、緊急性の高い心疾患だった」という事例もあります。その場合、今まではかかりつけ医が自治体の救急車に患者搬送を依頼していました。
そこで、一分一秒でも早く、専門医による初期診断ができ、必要に応じて初期治療が始められるように、地域の医療機関の要請を受けて出動する、循環器専門医が同乗する救急車「モービルCCU」を導入することといたしました。
モービルCCUの特長
モービルCCUは、トヨタ製ハイメディック(高規格救急車)を改造し、医療機器を搭載した特殊車両です。
連携医療機関の要請を受け、当院から、医師、看護師、臨床工学技士、事務職員(運転手)がチームとして出動します。要請先の医療機関に到着後、迅速に、モービルCCUへ患者を収容して、診察を引き継ぎます。
- 搬送中の患者の急変に対応するために必要なモニター、人工呼吸器や各種薬剤を、装備するのに十分な広さがある。
- 外部充電も可能な1000Wの電源ユニットを搭載することで、大動脈バルーンポンピング(IABP)、経皮的心肺補助循環(PCPS)などの機械的補助循環装置が装着された、ショック状態の患者の搬送を安全に行うことができる。また、医師が同乗することにより、DC(AEDよりも高圧の除細動器)による処置も実施することができる。
モービルCCU導入のメリット
モービルCCU導入による、患者および地域の医療機関へのメリットは、下記3つのポイントが挙げられます。
- 連携医療機関の診療中断を最小限にできる。
循環器の専門医や看護師がいち早く現場に行くことで、連携医療機関の医師は速やかに通常の診療に戻ることができ、ほかの患者への影響を最小限に抑えることができる。
- モービルCCU車内から当院と患者情報を共有することで、Door-to-treatment時間が短縮される。
緊急心臓カテーテル検査や緊急手術が必要な症例では、病院と連絡を取りながら搬送することによって、病院では到着後の治療の準備にあたると同時に、車内ではインフォームドコンセントを行い、病院到着後一秒でも早く必要な検査・治療を行うことが可能となる。
緊急心臓カテーテル検査や緊急手術が必要な症例では、病院と連絡を取りながら搬送することによって、病院では到着後の治療の準備にあたると同時に、車内ではインフォームドコンセントを行い、病院到着後一秒でも早く必要な検査・治療を行うことが可能となる。
- 自治体の救急車を占有する時間が短縮され、地域の消防救急活動が最適化される。
モービルCCUが出向くことで、医療機関同士の患者搬送に自治体の救急車を使用することがなくなり、地域の公的資源の確保に寄与できる。