医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院(所在地:埼玉県上尾市 院長:徳永英吉、以下 当院)は、循環器系急性疾患とその治療方法に関わる正しい知識の普及を目的とし、報道関係者に向けた勉強会『プレスセミナー』を2019年1月5日(土)に開催します。
年間、約7万人が命を落とす「虚血性心疾患」
日本人の死因第2位の「心疾患」。
なかでも、心筋梗塞に代表される「虚血性心疾患(心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が、狭くなったり、閉塞したりして心筋に血液が行かなくなり、心筋が壊死してしまう疾患)」では、急性心筋梗塞(34,950名)および、その他の虚血性心疾患(34,907名)合わせて7万名近い方が亡くなっています。
これら、虚血性心疾患の救命には「心臓や脳が大きなダメージを受ける前に、血液が流れて酸素や栄養分が届くようにすること」が必要になります。
(出典:厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」より、疾患別死亡数)
循環器系急性疾患の救命は時間との戦い
急性冠症候群(急速に進行する虚血性心疾患)の治療は、血管に細い管を通して血流を妨げている場所を拡げるなどの処置を行う「心臓カテーテル治療」が一般的です。
急性心筋梗塞を発症した場合、虚血による心筋壊死は6時間ほどで完成すると言われています。このため、6時間以内に治療が完了するか否か、が治療にあたってのひとつの目安となっています。
特に、ST上昇型心筋梗塞では、病院に到着してから再灌流(血流が再開すること)までの時間が90分以内であることが、患者さんの予後を良くするために好ましいとされ、病院の心臓治療の質を示す指標の一つにもなっています。
では、発症から病院に到着するまでの時間はどうでしょうか。
2012年にBritish Medical Journalに掲載された論文(著:京都大学医学部附属病院の塩見紘樹医師ら)によると、「ST上昇型心筋梗塞の場合、発症から再灌流までが3時間以内の患者さんで、向こう3年間の死亡や心不全に至るリスクが30%低下する」ことが示唆されています。
心筋梗塞の患者さんが、後遺症を最小限に抑えて今までに近い暮らしへ戻るためには、一分一秒でも早く治療を受けることが必要です。
(出典: British Medical Journal・Siomi H,et al. BMJ 2012;344:e3257)
メディアセミナー開催に向けた思い:報道関係者に伝えたいこと
“胸の真ん中に締め付けられるような鈍い痛みが急に始まり、冷や汗を伴って長く続く”
これが、急性心筋梗塞の典型的な症状です。
深夜などにこの症状がおこると、頑張って我慢してしまい、その結果、命を落とす方がいます。すぐに救急車を呼び、カテーテル治療ができる病院に搬送されたなら、その患者さんは助かったかもしれません。
昨今、「救急車の適正利用」や「不要不急の受診を避ける」ことの必要性が訴えられていますが、日常生活の中で『なにが適正なのかを知る機会』は少ないのではないでしょうか。
そのため、当院では、一般の方を対象とした、様々な病気の公開講座を定期的に開催し、発症から治療までの流れなどをお知らせしています。さらに、治療後の流れや医療現場のことも知っていただければ、より一層市民生活に役立つのではないか、と思っていますが、実際の救急車両や治療室を多数の方にお見せするわけにはいきません。
そこで、我々医療機関と、一般の方をつなぐ立場である報道関係者に向けた勉強会を開催することで、少しでも急性冠症候群の治療や予後等に関する知識が伝わるきっかけになってほしいと願っています。
今回のプレスセミナーでは、急性冠症候群の病態等の説明、心臓病専門救急車・モービルCCUや搬送された患者さんが通る流れ(救急室からカテーテル治療室、CCU(心臓集中治療施設)、リハビリテーション室)の見学と質疑応答もおこないます。
報道関係者であれば、新聞・テレビ・インターネット等の媒体は問いません。
詳細は、電話または上記お問い合わせフォームで、広報係までお問い合わせください。