診療情報管理士
当院で診療情報管理士が所属する部署は「医療情報管理課」といい、主な業務は、患者一人ひとりの診療の記録の保管・管理です。
診療に関わる諸記録の保管・管理を行い、診療情報の後利用が適正に行えるように整備するとともに、こうした情報を元に各種診療統計を算出しています。診療記録の管理には大きく分けて「量的な管理」(紙やフィルムなど物理的な媒体の記録の管理)と「質的な管理」(情報の管理)の2つの側面がありますが、その両面の管理を診療情報管理士17名を含む33名のスタッフで行っています。
特徴・特色
医療情報管理課が担う業務は幅広く、それぞれ必要とする知識、スキルが異なることから似通った知識・スキルを必要とする業務ごとのチーム制を導入しています。
がん登録チーム
2021年4月に地域がん診療連携拠点病院に指定されました。院内がん登録とは、各病院で「がん」と診断または治療されたすべての患者さんについての必要な情報を集め、一定の決まりに従って専門の登録実務者が登録することです。がん登録チームでは、国立がん研究センターが実施するがん登録実務者の認定を受けた診療情報管理士が配属され院内がん登録や臓器別のがん登録などを正確に行い、がん診療に少しでも役立てるよう努めています。
収集した院内がん登録情報は、毎年国立がん研究センターへ届出しています。
また、生存率調査のために登録情報に基づく予後調査(生存確認調査)を実施しています。チーム配属の有無に関係なく、新卒入職者は国立がん研究センターが提供している教材を使用し院内がん登録実務の知識習得のための学習機会を設けています。(在学中に資格取得している者を除く)
データ抽出チーム
院内の診療情報(医療データ)を抽出・管理することが主な業務です。電子カルテだけでなく、会計情報(医事データ)に代表される各部門システムに蓄積された多種多様なデータを組合わせ、研究、施設認定、学会報告、所轄官庁への集計報告、院内の現状分析等いろいろな目的でデータを作成しています。
このような業務を行うには医療知識だけではなく診療報酬、院内の業務フロー、Excelやデータベース等のIT技術も必要です。
また、抽出・集計されたデータを分析し問題点を明らかにし現場へフィードバックすることや院内業務の効率化推進に積極的に取り組んでおり、コンサルティング力も必要です。
そのため幅広い知識を必要とし、既知の情報をブラッシュアップするともに新しい知識の獲得をすべく常に学習しています。
診療記録監査チーム
診療記録の質的監査を運営し、集計した結果を委員会へ報告、各職種へフィードバックすることが主な業務です。また、退院時サマリや手術記録の作成率の管理や記録内容の監査、死亡診断書の記載ルールに則った質的監査もこのチームが担っています。
診療記録の正しい記載・運用ルールを遵守するために事後の監査だけではなく、診療記録内の文書・テンプレート等においては作成当初から設計に介入しています。
さらに入職時オリエンテーションとして、診療記録記載の注意事項を研修医に講義しています。
症例登録チーム
各種診療データベースの登録支援を担っています。データは医師の専門医制度への申請などに活用されています。当課が代行入力を担うことにより医師の事務作業負担、軽減、診療への専念につながります。
精度の高い登録のためにはカルテを読む力、臨床についての知識が必要であり、日々鍛錬しながら業務にあたっています。
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NCD(National Clinical DataBase)
JND(Japan Neurosurgical Database)
JOANR(Japanese Orthopaedic Association)
スキャンセンター
2011年7月の電子カルテ導入を機に診療記録のほとんどが電子データとして保管されることになりましたが署名が必要な書類等は発生します。そういった書類を電子カルテに取り込むのがスキャンセンターです。なお、電子カルテに取り込む情報は不備がないよう、スキャニング前に監査も実施します。あまり知られていない仕事ですが臨床現場ですぐに該当書類を電子カルテ上で確認するためになくてはならない業務です。
その他業務
チームの枠を超えて課全体で取り組む業務もあります。
- 委員会の参加、統計資料提供
- 紙カルテの管理
- ICD・DPCコーディング検証
- 様式1作成業務
- 開示請求資料作成
- 重症度・医療・看護必要度集計・監査 等
教育体制・研修制度
チーム間でのローテート研修
新卒入職者には入職後に約1か月半、チーム間でのローテート研修を実施しています。ローテート研修では主に、記録管理・監査、症例登録、データ抽出業務について学び、ローテート後にチーム配属となります。また、がん登録についてはチーム配属に関係なく学習する機会を設け、がん登録初級認定者取得を目標に指導しています。
中途入職者には配属となったチーム毎に指導を実施しており、チーム全員で教育にあたっています。
研修後も1年間は教育期間とし、その後の社会生活で困ることのないように、OJT、ブラザー・シスターが、個々のキャリア形成も考慮しながら社会人としての基本を指導します。
クリニカルラダー
チームへの配属後は、チーム毎に作成したクリニカルラダーにそって教育します。クリニカルラダーを使用することにより、当課職員としてこれからどのように成長していけばよいのかの方向性を知ることができ、自身が現在どのくらいのポジションにいるのかを測ることが可能です。また、クリニカルラダーは実際にその業務に携わっている職員が作成しており高精度で現実の業務とリンクしているため、実際の業務を担当する中で達成を実感しながら成長することができます。
チーム異動
長年チームに所属することによりプロフェッショナルが育ちやすい環境です。一方で、偏った能力・経験になることが懸念されますが、チーム間での異動も可能で総合的な能力を持った人材も育成しています。
こんな人材を育成しています
日進月歩で医療が高度化していく中、診療情報管理士に求められる知識・スキルも目まぐるしく変化し続けています。今後も私たちが医療に貢献していくためには、現在のスキルを磨くだけでなく新しいことを取り入れチャレンジしていく精神が必要です。失敗をおそれず、自ら考え行動ができる、そんな人材を育成しています。
活動実績
- 課内勉強会の実施(毎月1回)
- 内部監査への参加
- 学会発表
- 専門学校非常勤講師
- 医師事務作業補助者全国研修講師
選考フロー(新卒)
中途採用につきましては、募集要項をご確認ください。
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