教育体制

キャリアデザイン

私達の仕事の主な対象は、患者さんです。常に、「患者さんに喜んで頂ける」という視点で仕事を行っています。一方、私達も仕事に喜びを感じないと、やりがいに繋がりません。

すなわち、病院薬剤師として、「患者さんに喜んでいただけたことは何か?」を常に見つめています。その時こそ、病院薬剤師という仕事に喜びを感じたはずであり、その「想い」を大切にしています。

①社会人基礎力

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。
臨床薬剤師の能力の向上と共に、人として、社会人として、医療人としての基本姿勢を常に振り返ります。

②ノン・テクニカルスキル

薬剤師には、求められる専門の知識や技能があります。しかし、それがどんなに高くても患者さんやご家族、地域住民、他の医療スタッフ等の満足度が上がらない場合や、成果に結び付かないことがあります。薬剤師の伝える力の不足によって、誤解を招き、命を疎かにする結果に繋がることもあるかもしれません。

なぜなら、医療活動の多くは、無形であり、提供する側(薬剤師)と受け手(患者さんやご家族、地域住民、他の医療スタッフ等)との接点、つまり「真実の瞬間」で価値が決まるためです。医療は人が人にさせて頂く仕事であり、人と人を結びつけるには、会話と相手を認める心が大切です。

そこで必要とされるのは、ノン・テクニカルスキルです。ここでは、コミュニケーション力や判断力といった非医療技術やスキルと定義します。また、病院薬剤師の役割を認識し、自立性を促すスキルも含めています。

当院の薬剤部では、薬剤師としての専門の知識の習得と共に、ノンテクニカルスキルの向上にも注力しています。

③テクニカルスキル

1)新入職員教育

セントラル業務(1年目の4~6月頃)

実務担当者とチーム担当者の2本柱で教育します。
実務担当者とは、3年目以上の薬剤師が、実務を通して教育・指導します。
チーム担当者とは、2年目の薬剤師が、実務では習得できなかった内容を補足します。

病棟業務(1年目の7~9月頃)

最初の5日間は、指導薬剤師が常に見守りマンツーマンで教育します。
その後10日間は、速やかに指導薬剤師に相談ができる体制の下で、実際の業務を行います。

両者共に、確認試験や実技試験による技能の確認を行い、ルーブリックを用いた評価を行い段階的に教育します。 薬学教育雑誌に、当院が属する法人の事例が紹介されています。

卒後の臨床薬剤師に向けたルーブリックによるパフォーマンス評価方法の導入
土屋裕伴他 上尾中央総合病院薬剤部 薬学教育 第5巻,(2021),279-286

2)入職2年目以降の教育

ラダーという手段を用いて、日々の業務を通して、一段階ずつ上がっていく過程を大切にします。ラダーが、「目標はこっちだぞ」と教えてくれる、またある時は、「最近、進んでいないよ」と気付かせてくれる様な、生きたラダーを目指します。

日本病院薬剤師会雑誌に、当院の事例が紹介されています。

クリニカルラダーを用いた病院薬剤師の個人能力の評価と育成計画への利用
新井亘 他 上尾中央総合病院薬剤部 日本病院薬剤師会雑誌,Vol.53 No.10 2017,1231-1239

④マネジメントスキル

当院の基本方針として、次世代リーダーの育成も挙げられています。 将来的に、管理職を目指す方には、薬剤部内の部署やチームにおいてリーダーシップを必要とする仕事を担います。

日本医療マネジメント学会誌に、当院の事例が紹介されています。

管理職育成に向けた病院薬剤師に対するマネジメントラダーの構築
日本医療マネジメント学会雑誌,2024,25(1),27-34.

⑤個人目標

上記に記した、①社会人基礎力、②ノン・テクニカルスキル、③テクニカルスキル、④マネジメントスキルについて、定期的にチェック表やラダー、ルーブリックを用いて現在地を把握します。

続いて、個人の大目標(将来自分が、患者のためにどのような薬剤師になりたいのか)と、具体的な年度の目標を明確にします。

具体的には、組織の全体目標を達成するために、組織目標と関連する個人目標を掲げ、自らの目標達成を目指して活動していきます。それによって、「組織としての成果を上げ、個人にとっても意味のある仕事となる」という自己研鑽と社会貢献が繋がります。

一方、ご自身のライフプランもあるはずです。ライフプランとキャリアプランを描き、その重なりを広げてる一つの手段として、当院薬剤部のキャリアデザインを用いて頂き、自分らしい病院薬剤師のキャリアを描きましょう。

大切なのは、振り返りです。
四半期毎に自己評価と他者評価の双方において進捗を把握し、必要に応じて助言を行います。良かったことやうまく行ったことが多々あることでしょう。
あるいは、悪かった点、うまく行かなかった点、予想外の出来事も多々あるかもしれません。
日々の業務に流されやすい中で、一旦心を穏やかにして、俯瞰的に見つめ直すことで新たな気づきを得て、次の課題へ挑戦するために、振り返りを行います。
その繰り返しによって、「上手くいかなかった時の自分」から、改善策を見出せるようになった「今の自分」に気づき、成長を実感することで、モチベーションが上がると考えています。

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